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中古品の未来

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 腕時計投資家の斉藤由貴生と申します。私は「腕時計投資のすすめ」や「もう新品を買うな!」という著書を出しているのですが、その中で中古品の購入を読者の方に強く勧めています。

 しかし、ブランド品の中古購入はまだまだ発展途上といえる状況。平成27年(2015年)に環境省が調査したデータによると、リユース品購入経験者は3割。購入した先で最も多かったのがインターネットオークション、その次がリユースショップという結果でした。

 私が「腕時計投資のすすめ」を発表したのも平成27年ですが、その時代から今にかけて中古品に対する認識は以前より注目されつつあるかもしれません。

 とはいえ、平成27年から2倍ほどの成長があるかというと、まだそういった状況にはないっていないでしょう。

 中古品は、感度の高い人には、その魅力を認識されていても、一般的な中古に対するイメージはまだ発展途中だといえます。

 先日筆者が、とある時計店で中古コーナーを見ていた際、腕時計をケース越しに見ながら「中古は無いでしょ」「ロレックスを中古で買うなんて負けた気がする」と会話している人を見かけました。

 筆者としては、「負けているのはその発想(笑)」と思ったのですが、まだまだこういう考えの人が中古を扱う時計店にもいるということは、中古品の良さが多くの人に伝わっていないのだと感じた出来事でした。

 しかし、その後「中古品はこれから受け入れられていくだろう」と感じた出来事があったのです。

時計店を後にした筆者は、銀座のヴァンクリーフアーペルに用事があったため立ち寄ったのですが、なんとそこでは中古品が売られていたのです。

ヴァンクリーフアーペルの銀座店は世界でも4店しかない「メゾン」の1つ。そのような店内でこれまで中古品が売られることはありえなかったのは、皆様もご存知のとおりでしょう。

それが、今のヴァンクリーフには「良きヴィンテージ品」という扱いで、中古品が販売されているのです。

これまで正規店では基本的に中古を扱うことがなく、一部ブランドの日本法人や比較的新しいブランドなどが中古品を実験的に扱うような様子があった程度です。それが、ヴァンクリーフという歴史ある高級宝石商が中古品を「メゾン」店舗で取り扱っているというのは衝撃的な出来事のように感じます。

 モノを楽しもうと思った場合、新品だけに限定してしまうと、現在あるラインナップから選ぶしかありません。しかし、過去に作られたモノにまで視野を広げると、これまでの歴史上で最も良いと思うモノを選ぶことが可能となります。

 こういった消費姿勢は、知的で粋な買い方だといえるでしょう。

 そして、過去製品を買おうと思ったら、基本的に中古でしか手に入りません。

 つまり、粋な消費をするためには、中古品を選ぶ必要があり、中古品を買うということは、今最も先端な買い方だということができるのです。

 先端を行くイケてる人が認識されれば、それを真似したがる人は多々いますから、徐々に中古が「イケてる」という空気感になり、中古を否定していた人も将来的には後に続くでしょう。

 10年以上前、アップル製品は注目されておらず、アップルストアに並ぶ人なんていませんでした。しかし、2010年代からはアップルが新製品を発表するたびに並ぶ人が出てくるといった状況となっています。

 筆者はアップルが注目される前、友人に「アップルは凄い」といったところ「凄いのはビル・ゲイツ。アップルなんてしょぼい」と一喝されました。けれども、彼は今ではアップルは凄いと言っています。

これと同じように、まだ世の中的には中古は少数派であるため、理解できない人がいる様子です。しかし今後は、今では考えられないぐらい、中古品が当たり前になる世の中になると思います。


これまで、「中古品を購入する」ということに対して、「負けた気がする」といった意見を持っていた人も、将来的には、手のひらを返したように「もう新品は買わない!」という日が来るでしょう。

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