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ブルガリ

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 腕時計投資家の斉藤由貴生です。連載第3回目の今回は、ブルガリについてお話させていただきたいと思います。

 ブルガリの中古といえば、20年ほど前に現行モデルとして販売されていたモノを良く見かけると思います。

 それらブルガリの特徴としては、数がとても多い反面、程度の良いモノが少ないという傾向があるといえます。また、程度の良いモノと悪いモノとで、大きく中古の販売価格が変わるという傾向もなく、ユーザーからすると10万円程度で入手可能という印象があります。

 現在、10万円程度で売られているブルガリは、中古相場の価格序列では、オメガよりも下という状況だといってよいでしょう。2000年頃に人気があったブランドの価格序列において、現在の中古相場ではブルガリは最も下に位置することになります。

 2000年頃において、ブルガリの人気モデルである「スポーツクロノ」や「スクーバ」のクロノグラフモデルなどの新品実勢価格は、40万円台という水準で、当時プレミア価格となっていたエクスプローラー14270と同じ価格帯。サブマリーナデイトの16610よりも高い実勢価格だったのです。

 それが今となっては、サブマリーナの16610は、中古で70万円台という水準である一方、ブルガリのクロノグラフは15万円以下で程度の良いものを購入することができます。つまり、同じ時代において、ロレックスは約35万円値上がりし、ブルガリは約30万円の値下がりとなっているのです。

 この相場変遷から、ブルガリの人気は以前よりも下がったといえます。

 では、なぜブルガリは人気がなくなってしまったのでしょうか。

 一時人気となったブランドが、その後に人気がなくなるという事例は、ブルガリの他にもありますが、そういったブランドは、「流行り」という要素があります。
 
 しかし、2000年頃のブルガリを知っている筆者としては、流行りモノといういう印象はありませんでした。ただ、90年代後半と比較して、その頃「ブルガリ」という知名度は高くなっていたと感じます。90年代後半では、「ブルガリ」を知る人は少なく、「ヨーグルト?」と聞き返されることも多々ありましたが、2000年代からは、多くの人が「ブルガリ=高級品」と知っていたと感じます。

 この2000年代というのが、ブルガリにおいて一つの転換点になったといえます。

 90年代後半において、ブルガリというブランドは、知られていないという印象があったのは先の通りですが、それは、日本のブルガリにおける「本店」の場所からも、察することができます。
 
 2000年頃において、ブルガリの本店は紀尾井町にありました。都心で、クリスタルな生活をしている方にとっては、紀尾井町といえば、"春は桜が綺麗で、クルマを眺めながらコーヒーを飲むことができる"とピンとくるでしょう。しかし、そういった方以外にとって「紀尾井町」という地名は、あまり知られていないと思います。

 ですから当時のブルガリは、そういった知る人ぞ知るという良さがあったといえます。

 しかし、2007年からブルガリの本店は、銀座の一等地の大きなビルとなり、紀尾井町とは比べ物にならないぐらい派手になりました。

 ブルガリの腕時計といえば、「BVLGARI」の文字がベゼルに刻まれており、目立つという印象がありますが、90年代のブルガリは、そういった「派手」さと、紀尾井町的な「上品」さが、うまい具合のバランスとなっていたといえます。

 けれども、銀座になってからのブルガリは、全てがこってりと派手になり、脂っこくて食べきれない味となってしまったのです。

 そして、今では人気のあった時代のブルガリも、10万円程度という相場で、当時遥かに安かったオメガよりも、安い中古価格となっています。

けれども、そんなブルガリは、安く買える今、実はなかなかおもしろい存在となっているのではないでしょうか。

 単に人気が無いというのではなく、かつて人気があったという文脈があるブルガリは、今、10万円台という予算で、とても楽しい選択肢だといえます。特に、90年代のモデルなど、人気の高かった時代のモデルに関しては、その時計にまつわるストーリーがいくつも存在するため、安く楽しめる魅力的な存在だと感じます。

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