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カルティエ

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 腕時計投資家の斉藤由貴生です。連載第4回目の今回は、カルティエの腕時計についてお話させていただきたいと思います。

 カルティエは、女性からの支持が高いブランドですが、これまで何度か男性ユーザーの新規開拓に力を入れてきたように感じます。記憶に新しい例ですと、2010年に登場したカリブルドゥカルティエがそれに該当しますし、それ以前だと2002年に登場したロードスターやタンクディヴァンなどが、男性をターゲットとしたモデルとしてデビューしています。

 けれども、これまでのカルティエには、男性用としてデビューした商品が結果的には女性用となってしまうというケースが何度もあるのです。

 ロードスターは、当初は男性専用としてデビューしましたが、後に女性用が追加されています。また、「ドライビングウォッチ」というべきタンクディヴァンは、ロードスターと同じく"クルマ"という要素を持たせた時計であり、デビュー当初のサイズはメンズが目立っていました。けれども、中古市場を見ると、そういったメンズサイズでも、ピンク色の革ベルトが装着されたモノが目立ち、女性が使っていたと思われる形跡があります。

 さて、腕時計の中古相場といえば、相場が「値上がり」も「値下がり」もするように、「値動きする」という傾向が特徴的ですが、そういった傾向にあるのは、主に男性用の腕時計です。

 そのためか、女性用が強い傾向のあるカルティエの腕時計は、あまり目立った値動きをすることがないといえます。

 例えば、パシャなどは、2000年前後という時代において、男性女性問わず人気があったモデルだといえますが、リーマンショック後に値下がりして以降、今に至っても価格が回復しない傾向があります。

 ロレックスなど多くの男性用モデルは、リーマンショック以降安くなりましたが、アベノミクス後は、相場が回復。最近では、その水準よりかなり高くなっている様子はご存知の通りです。

 しかし、パシャなどに関しては、現在70万円以上の中古売値となっている5桁リファレンスのロレックスに対して、半額以下の売値です。パシャ38mmは、2000年代前半における新品実勢価格が5桁リファレンスのSSロレックス(デイトナを除く)より高かったのに、現在20万円台前半で売られている姿を目にします。

 パシャ38mmが20万円台前半という水準になったのは、私が見た限りではリーマンショック以降のことですが、その際ロレックスのエクスプローラーなども同様の水準となっていました。今では、エクスプローラーは40万円台後半であるのに対し、パシャ38mmはリーマンショック後から相場が変わらない傾向があります。

 パシャは、かつて有名だったモデルですが、現在ではシリーズが生産終了となっています。ですから、ここ数年の間に高級腕時計に興味を持った方は、その存在自体を知らないかもしれません。

 パシャを含め、カルティエには歴史やストーリーがあるモデルが、他のブランドより多いといえます。しかしながら、カルティエはそういったモデルを廃止し、新たなモデルをいくつも展開してます。

 その結果、ユーザーにとって、モデル自体を認識しづらく、特に旧モデルに関してはその傾向が強い状況だと感じます。

 カルティエは、強いブランドでありながら、このような事情から、中古相場ではあまり目立った値動きをしないのだと思います。

 また、カルティエにおいては、90年代のCPCPなど、様々な名作があるといえますが、そういったモノでも、やはり認識されていない傾向があるといえます。そのため、名作だったとしても、当時同価格だった他のブランドと比べると、あまり評価されているとはいえません。

 こういった過去の名作や、かつての人気だったモデルは、現在相対的に安く購入可能であるため、ユーザー目線では「面白い選択肢」だと思います。

 ただ、それらモデルの存在を知っているユーザー自体が少ないため、今後において、過去のカルティエの名作を紹介する分脈が重要なキーとなるのでは、と強く感じるのです。

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