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ロレックス

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 腕時計投資家の斉藤由貴生です。連載第5回目の今回は、ロレックスについてお話させていただきたいと思います。

 現在、「ロレックス」というブランドに対して、多くの人が抱くイメージは、デイトナなどスポーツ系のモデルが中心で、またその相場も「変化する」という印象があるかと思います。

 しかし、90年代後半以前において、「ロレックス」といわれてイメージされるのは、コンビのデイトジャスト。当然、買った値段よりも高く売れるということは誰もが考えもしなかったでしょう。

 もちろん、当時からロレックスは換金率が高いと言われていたようですが、いくら換金率が高かったとしても、"買った値段よりも高く売れる"ということを期待できるほどではなかったと思います。

 ちなみに、過去の雑誌を見ると、1995年ぐらいまでデイトナは定価よりも安い価格で入手可能という様子でしたが、1998年頃には入手困難という状況になっていました。ですから、90年代後半という時代において、デイトナは定価より高い価格で取引され始めた模様です。

 また、その時代には、もう一つの入手困難なロレックスが登場し、こういった存在が「ロレックスブーム」といえる状況を作り出したといえます。

 その入手困難な存在とは、エクスプローラーであるのですが、当時、高視聴率を叩きだしたドラマの影響で人気が出たと言われています。

 また、その頃すでに旧型となっていた4桁リファレンスのモデルが「アンティーク」と呼ばれ、いくつかのモデルが高値状態となっていました。高く評価されていたのは、現行人気が高かったデイトナとエクスプローラーが主でしたが、それ以外にも赤サブや赤シードなどが高値となっていました。

 そういった現象は、当時、日本を中心に起こっていたようで、海外での4桁リファレンスの評価は日本ほど高くなかった模様です。それは、1999年7月1日号の雑誌「ブルータス」で指摘されているのですが、『同じモデルでもロゴが赤いと「赤サブ」といって価格が上がる。日本ならではのおめでたい珍現象がある。』というように批判的な内容となっていました。

 しかし、その日本発ともいえる「ロレックスブーム」は、その後世界的に影響をもたらし、現在では世界中で中古のロレックスは高い評価を受けているのはご存知のとおりです。実際、かつて「おめでたい珍現象」と揶揄された赤サブは、1999年の日本価格と比較して、2019年現在の世界的な相場は5倍程度にまで上昇しているといえる状況となっています。

 「ロレックスブーム」といわれた1999年当時、雑誌「ブルータス」に限らず多くの人がそういった現象に批判的だったと思います。

 例えば、時計に詳しいと自負する人は「ロレックスは仕上げの割に割高」というようなことを言っていたり、値上がりする様子に対して「今だけだ」と言っている人をよくみかけました。

 確かに2008年のリーマンショック時には、ロレックスは値下がりし、デイトナなどいくつかのモデルが1999年の相場をも下回ったといえます。けれども、その後ロレックス相場は反発し、2019年現在では1999年当時の相場を遥かに上回る状況となっているのは明らかです。

 ただ、そのように"高くなった"状況においても、やはり「高すぎる」というように批判的な意見を抱く人がいます。反対に安くなっても「やっぱり価値が下がる」とも批判する人もいます。つまり、高くなっても安くなっても、批判する人は一定数いるのです。

 しかしながら、「高すぎる」と批判されても、相場はその声を無視するかのようにそれ以上に高くなり、「高すぎる」と言われたときに買ったとしても数十万円の値上がりとなることは珍しくありません。

 つまり、相場は正直なのです。

 「腕時計が値動きする」ということは、最近では多くの人に知られており、「高くなる」ということだけが重要のではなく、「値動きする」という面白さについて多くの人が気づいているといえる状況だと感じています。

 そして、そういった面白さを牽引する存在がまさにロレックスという存在であり、今後も多くの時計ファンを楽しませてくれることだと思います。

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