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パネライ

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 腕時計投資家の斉藤由貴生です。連載第6回目の今回は、パネライについてお話させていただきたいと思います。

 パネライは2002年頃から日本で大ヒットとなったブランドで、今でも人気がある存在だといえます。その独特の見た目と巨大さから、2000年代には「一時のブームで終わるのではないか」と危惧されたようにも思いますが、周りのブランドにも「デカ厚」という影響を与えたぐらいメジャーな存在となりました。
 
 パネライが高級腕時計として一般販売されたのは90年代のことですから、腕時計ブランドとしてはかなり新しいといえます。しかし、パネライの創業年は1860年とされており、戦中の軍用モデルも存在。そういった、特殊な歴史がまさにパネライの面白さだといえるでしょう。

 中古として一般的に入手可能なのは民生用時代のモノですが、民生用時代のパネライには2つの時代があり、プレヴァンドームと97年以降のリシュモン時代とに分かれます。そして、そのリシュモン時代でもさらに2つの時代に分類でき、おおよそ2005年以前と以後で分けることができるのです。

 まとめますと、軍用時代、プレヴァンドーム、2005年以前、2005年以後というようにパネライには4つの時代があるといえますが、それら時代を意識するとよりパネライを楽しむことができるのではないかと考えます。

 特にここ10年ぐらいの間に、高級腕時計に興味を持ったという方の中は、2005年以前世代というを気にかけてないという方も多いかと思います。この「2005年以前」という点は、5桁時代のロレックスのように文脈化されているわけではないため、パネライのヤングクラシックな世代は、今まで大きな注目度となっていないといえます。
  
 ただ、古いパネライが注目されていないわけではなく、特にプレヴァンドーム世代は高価な価格帯となっており、4桁の"アンティークロレックス"に近い存在感となっています。けれども、リシュモン時代になってからのパネライには、2005年以前以後ということがあまり意識されることはなく、比較的古いモノも新しめのモノもそこまで大きな区別とはなっていないと感じるのです。
 では2005年頃、パネライにはどんな変化があったのかというと、以下のような点が挙げられます。

・ 自社製ムーブメント化
・ ラジオミールの脱高級化
・ ラインナップ数の拡大

ですから、これら3つの要素が『無い』のが2005年以前のパネライであるのです。

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 現在、パネライといえば「8DAYS」のパワーリザーブ性能を誇るムーブメントが有名なように、自社製ムーブメントのキャラクターが強いですが、2005年以前においては、特徴ある他社製ムーブメントを使用していました。

 当時高級シリーズだったラジオミールには、特にレアムーブメントが搭載されており、デッドストックムーブメントなど、他のブランドではあまり見かけない手法を用いたモデルが多々あったのです。

 そういった存在は、その多くが限定モデルとして存在していましたが、コレクター目線だと「たまらない」要素を持ったモノが多々あるといえます。

 もちろん、それら限定モデルは今でも評価されていないわけではありません。しかし、同じ時代の一般的なモデルにおいては、大きな評価となっているモデルは一部に限られるといえます。

 また、現在パネライには、様々なサイズが展開されていますが、2005年以前のパネライにおけるサイズは、基本的に40mmと44mmのみ(ルミノール系)。

 限定モデルのラインナップは多かったものの、一般販売モデルのラインナップ数はシンプルで、その全体像が把握しやすかった傾向があります。また、限定モデルは数がそこそこありますが、濃いキャラクターをもったモノが多いため、「分かりづらい」ということにはならなかったでしょう。

 文字盤のデザインや表記も今よりシンプルで、独特なオーラがあると感じる2005年以前世代のパネライ。この世代の手巻きルミノールや40mmブレスレットモデルは、今のパネライには無い雰囲気があり、とても魅力的だと思います。そして、これらは基本的に中古でしか選択することができません。

 あまり大きく注目されているとはいえない世代ですが、「ヤングクラシックなパネライ」という文脈をもっと多くのユーザーに楽しんで欲しいと思います。

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