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タグ・ホイヤー

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 腕時計投資家の斉藤由貴生です。連載第8回目の今回は、タグ・ホイヤーについてお話させていただきたいと思います。

 タグ・ホイヤーというブランドは、年代によって製品づくりの方針が異なり、今と昔とでは、全く異なる腕時計という印象があります。

 現在、主に中古として出回っているのは、「タグ・ホイヤー」ですが、これはLVMH以前と以降、2つに分類することができます。それに加えて、タグ社に買収される以前の「ホイヤー」があるため、ここ50年ほどの製品でも、大きく3つに分類することができるかと思います。

 ホイヤー時代では、カレラやモナコなど"革ベルトに機械式"という内容がメインだった印象がある一方で、タグ・ホイヤーになってからは"ブレスレット&防水"というラインナップが主となりました。そして、LVMH買収以降は、再度ホイヤー時代と同じラインナップが中心となった印象があります。

 タグ・ホイヤーというブランドは、高級腕時計の価格序列において、エントリーに位置するため、これまで中古もそれほど高くないという印象がありました。しかし、ここ数年においてホイヤー時代のモデルは100万円以上という売値が珍しくなくなり、以前とは異なる状況となっています。

 その一方で、タグ・ホイヤーとなってからのモデルでは、そのような価格帯のモノは少なく、特にLVMH以前の製品は安い傾向があると感じます。

 LVMH以前のタグ・ホイヤーには、90年代に大ヒットしていたS/elなどがありますが、そういったモデルのほとんどは、現在5万円前後という価格帯が売値となっている状況です。ちなみに、この時代のタグ・ホイヤーには正規輸入品が多い印象がありますが、これはLVMH以前の日本代理店による影響なのかもしれません。

 LVMH以降になると、並行輸入品がそれ以前より多くなった印象がありますが、エドワードクラブ(正規輸入品のOH割引)も2000年以降の製品が対象となっています。

 これは、2000年に日本の代理店が変更になったからともいえますが、並行輸入品が存在するという前提だとも感じます。

 さて、LVMH以降において、タグ・ホイヤーはカレラをメインとしたラインナップへと変化するわけですが、カレラ自体のキャラクターもここで変化します。

 近代的なカレラは、LVMH以前のタグ・ホイヤーが、復刻版の限定モデルとして1996年に登場させたことが発端ですが、そのモデル(CS3110系)は、時計マニア向けのかつ、やや高級志向な内容だといえます。

 その後カレラは限定モデルではなく「Classics」シリーズとしてモナコやモンツァとともに通常販売されたのですが、LVMH後にはラインナップの中心的存在にまで出世しました。

 LVMH以降において、当初はClassics時代のカレラを踏襲していましたが、2004年に登場したCV2010からは、90年代のエントリー的要素を取り入れ、多くの人に「はじめての高級腕時計」として買われるようになったと感じます。

 ですから、タグ・ホイヤーには、同じモデルでも、マニア受けするモデルと、腕時計初心者に需要の高いモデルが混在することになり、時代によってもそれら印象は変わります。

 タグ・ホイヤーの多くのモデルには、初心者向けというキャラクターを持つモノが多いため、数が多い割に、中古市場での「それが欲しい」という指名買いも少なく、その結果安値になる傾向があるのかもしれません。

 その一方で、マニア受けするモデルは、最近値上がり傾向であり、先のようにホイヤー時代のモデルは、現在100万円以上というモデルがザラです。また、90年代のClassicsも値上がり傾向となっており、以前のように必ずしも「タグ・ホイヤー=安い」という印象ではなくなっているのが興味深いと感じます。

 なお、筆者としては90年代のS/elや6000、キリウムなどに対して、近年、マニア的な魅力を感じるように意識が変化してきたのですが、今後この世代がマニア受けとなり、世界中で注目度が高くなったら面白いと思います。

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