チューダー
腕時計投資家の斉藤由貴生です。
連載第19回目の今回は、チューダーについてお話させていただきたいと思います。
「チューダー」というブランドは、少なくとも20年前から日本で一定の知名度があるといえますが、正規輸入が開始されたのは2018年と、最近になってから。
また、それまで「チュードル」と日本語表記されていましたが、正規輸入開始とともに「チューダー」が正式ということになりました。
2018年まで正規輸入されていなかったにも関わらず、日本で一定の知名度があったのかというと、それは並行輸入店の功績が大きいといえます。
実際、中古市場を見ると2018年より前に生産されていたモデルは多く、随分前の段階から日本市場で"普通に流通"していたことが分かります。
そういったものの多くは、日本で販売されたものだと思います。
海外で買われた個体もあるでしょうが、その数の多さから日本で購入されたものが多いと推測できるわけです。
当時「チュードル」と呼ばれていたチューダーの腕時計は、腕時計マニア目線ではとてもおもしろいものだったといえます。
チューダーは、ロレックス系列のブランドでありながら、「安価な価格帯」といったポジション。
オメガに対抗する価格帯ながら、その時計作りの哲学はロレックスと共通しているわけです。
さらに、日本に正規輸入されていない時代から、チューダーにはメンテンスの心配がありませんでした。
なぜなら日本ロレックスで、チューダーのメンテンスを受け付けてくれたからです。
さて、ここからはチューダーの中古市場についてです。
チューダーの腕時計の特徴としては、年々ラインナップが変わるという特徴があります。
具体的には、年代ごとにそれぞれの特徴があるといったところで、「70年代」、「90年代」といったように区別できる傾向があるといえます。
腕時計ファンといった目線では、一番馴染みがあるチューダーは、おそらく90年代から2000年代ごろにかけて生産されていた「クロノタイム」でしょうが、この世代は現在からすると2世代前といった印象です。
2018年に日本に正規輸入が開始された世代以降のモデルを現行世代だとすると、その1つ前が2010年に登場したヘリテージクロノなど、そしてその前がクロノタイムとなるかと思います。
また、そのクロノタイムにも世代があり、新旧世代に分かれるといえます。
新世代の特徴としては、「カラフルな文字盤色」、「5連ブレスレット」、タイガーウッズとのコラボによる「タイガー表記」といったところ。
また、ラグ部分が鏡面になったモデルが存在し、それらのリファレンス末尾には「P」が付くという特徴があります。
それに対して旧世代には、「カラフルな文字盤色」の設定がなく、多くが黒か銀。
また、ブレスレットも3連が基本で、ロレックスと共通パーツが目立つ傾向があります。
このような仕様は1995年頃でも存在していましたが、2000年前後といった時代から、中古販売店では「アンティーク」と呼ばれ、4桁ロレックスと同様に扱われる傾向があり、消費者もそれを受け入れている印象です。
チューダーは、先の通り2018年から日本に正規輸入されましたが、その前と後で最も変わった事象こそ、このクロノタイムの相場でしょう。
クロノタイムは、2017年頃まで新世代が20万円台前半、旧世代が40万円台後半からといった中古売値となっていましたが、2018年以降は値上がり傾向となりました。
2019年には新世代が30万円台後半、旧世代は70万円台となり、以前とは随分異なる価格帯となったのです。
チューダーは、オメガのライバルといった印象がありますが、2017年までの中古市場での存在感はオメガより目立たないといった傾向があったかもしれません。
しかし、2018年からはオメガを遥かに凌ぐ値動きとなり、ロレックスの人気モデルのような活発な値動きとなったわけです。
正規輸入ということにより、より多くの人に知られることになったチューダー。
今後、リセールバリューの良い安価なブランドという認知になれば、さらなる人気度となるのではないでしょうか。
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