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ルイ・ヴィトン

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 腕時計投資家の斉藤由貴生です。

 連載第20回目の今回は、ルイ・ヴィトンについてお話させていただきたいと思います。

 

 ルイ・ヴィトンといえば、日本でも世界においても、高級なブランドの代名詞だといえるでしょう。

 そのため、ブランドに詳しくない方にとっては、「ルイ・ヴィトンは、高級ブランド。

 だから高級腕時計も昔から扱っている」というイメージなるかもしれません。

 しかしながら、ルイ・ヴィトンが腕時計を扱い始めたのは2002年のこと。

 それよりかなり前の時代から、ルイ・ヴィトンは日本で親しまれていますが、腕時計への参入はだいぶ最近です。

 2002年当時、ルイ・ヴィトンのようなブランドを高級腕時計界隈で見かけないといったことはごく自然だったといえます。

 なぜなら、高級腕時計ブランドは、腕時計専門のメーカーか、宝飾品を扱うブランドといった傾向があったからです。

 

 ブランド品は、一言で「ブランド」といっも、宝飾とファッションではそのキャラクターが異なるため、"高級腕時計"という領域においては、たとえ有名ブランドだったとしてもファッション系は弱いといえます。

 ルイ・ヴィトンは、カバンが主なブランドですから、服飾を主に扱うファッションブランドと比べると、取り扱うアイテムの平均価格帯は「上」となるでしょう。

 しかしながら、この価格帯をもってしても、高級腕時計となると、ファッション寄りとみなされてしまう可能性もあったといえます。

 実際、2002年以前から、グッチは積極的に腕時計を展開していましたが、そのキャラクターは高級腕時計のそれとは異なります。

 グッチとしてもその点は意識しているといえ、定価を見ても、いわゆる高級腕時計と比べると安価な価格帯が目立つわけです。

 こういった経緯を考慮すると、ルイ・ヴィトンが2002年まで高級腕時計を積極展開していなかったことは、かなり自然だったといえます。

 そして、ルイ・ヴィトンは、それまで高級腕時計を半端にラインナップしていなかったからこそ、2002年の段階で本格的に高級腕時計に参入することができたといえます。

 もしも、それ以前から腕時計をそれなりに展開していたならば、おそらくそのイメージを「本格」に近づけるのは大変だったと思います。

 そして、2002年という時代は、ファッション系ブランドにとって高級腕時計への本格参入するのに良いタイミングでもありました。

 この時代、ルイ・ヴィトンの他にシャネルがJ12を発表しましたが、ちょうど人々が「ロレックスの次に買う時計」といったアイテムを望んでいたと感じる時期でした。

 そういった方々にとって、シャネルやルイ・ヴィトンといったアイテムは真新しく、それでいて本格さがあったため、強い関心を引いたといえます。

 実際、ルイ・ヴィトンの腕時計で、フラッグシップモデルの印象が強かったのは、タンブールクロノのQ1141ですが、それには、エル・プリメロベースのムーブメントが搭載。

 発表当時は大変な話題となっていた記憶があります。

 そして、ルイ・ヴィトンはその後Q1141よりも高価なモデルを投入。

 比較的安価なクォーツから、トゥールビヨンまでをラインナップするといったようになっていったわけです。

 

 さて、2000年代にはそのような勢いがあったルイ・ヴィトンですが、2020年の今、どのような状況となっているのでしょう。

 現在の公式オンラインストアを見ると、意外にもラインナップはそれほど多くなく、コネクテッドウォッチ(スマートウォッチ)が目立つ様子があります。

 また、中古市場においても、ルイ・ヴィトンの腕時計はそれほど人気があるという印象はなく、私がお気に入り登録している中古腕時計についても長期間に渡って売れていないものが多いように感じます。

 その一方で、カバン類は人気があり、私が目をつけていたシリウス45やホライゾン55などは、気づいたら「売り切れ」となっている様子が多いわけです。

 こういった私の経験から感じるのは、やはりルイ・ヴィトンはカバンがものすごい強い一方で、腕時計はそこまでの強さがないということだと思います。

 

 最後に私個人として、「こんなものがあったら良いのに」と思うのは、アップルウォッチとのコラボレーション。

 アップルウォッチといえば、「エルメス」が以前からありますが、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションモデルが登場したならば、かなりな人気となることでしょう。

 モノグラム柄ストラップを装着したアップルウォッチ、ぜひ見てみたいものです。

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